🟥特定技能制度シリーズ 第13回
特定技能の届出①
雇用契約を変更・終了したとき、入管への届出は?
特定技能外国人を雇用していると、
雇用条件を変更した
退職した
雇用契約が終了した
といった出来事が起こります。
このような場合、
特定技能所属機関は、必要に応じて出入国在留管理庁へ届出を行います。
届出は、発生した出来事に対して、入管庁が指定する参考様式の中から
適切なものを選択のうえ提出する必要があります。
また、「雇用」という出来事に対する届出においては、
入管庁への届出と、
厚生労働省(ハローワーク)への届出
では、制度の目的や基準となる日が異なるため、注意が必要です。
今回は、
**入管庁への「特定技能雇用契約に係る届出」**について整理します。
まず、発生した出来事を整理する
特定技能の届出を考える場合、最初に特定技能外国人と企業の間に起きた出来事
を整理することが大切です。
例えば、
雇用契約の内容を変更した
雇用契約が終了した
新たに特定技能雇用契約を締結した
といった場合です。
出入国在留管理庁では、これらについて、
「特定技能所属機関による特定技能雇用契約に係る届出」
を定めています。
届出期限は、原則として、届出事由が生じた日から14日以内です。
使用する主な参考様式は、次の2つです。
届出の内容 | 参考様式 |
特定技能雇用契約の内容を変更した | 第3-1-1号 |
特定技能雇用契約を終了した | 第3-1-2号 |
新たな特定技能雇用契約を締結した | 第3-1-2号 |
① 雇用契約を変更した場合
使用するのは、
参考様式第3-1-1号「特定技能雇用契約の変更に係る届出書」です。

この届出で重要なのは、雇用契約の内容が変更された場合、すべての契約内容を
最初から書き直すわけではないという点です。
基本的には、
届出書の中から変更に該当する事項を選び、必要な事項だけ記載する形になります。
つまり、「変更があったので、雇用契約の全内容をもう一度届出する」
という仕組みではありません。
例えば、賃金に関する届出対象の変更があった場合には、
その変更事項を本届出書に記載のうえ、必要な資料を添付し提出します。
ただし、「変更=すべて届出」ではありません
雇用契約の内容に何らかの変更があったとしても、すべての変更が届出の対象になる
わけではありません。
例えば、入管庁の運用要領では、
雇用契約期間について、
来日予定日が延期された場合
当初予定していた雇用開始日が変更された場合
雇用契約期間そのものに変更が生じていない場合は、届出不要とされています。
つまり、
予定していた日が変わった=必ず届出ではありません。
重要なのは、今回の変更が、特定技能雇用契約の届出対象となる変更なのか
を確認することです。
② 雇用契約が終了した場合
使用するのは、
参考様式第3-1-2号「特定技能雇用契約の終了又は締結に係る届出書」です。


例えば、
契約期間が満了した
本人が退職した
解雇した
など、特定技能雇用契約が終了した場合に届出を検討します。
ただし、ここでも注意が必要です。
雇用契約の終了理由が、単なる「雇用契約の終期到来」以外の場合、
原則として「受入れ困難に係る届出」も併せて提出する必要があります。 (※「受入れ困難に係る届出」を事前に提出していれば不要。)
したがって、
退職したから、第3-1-2号だけ提出すれば終わりとは限りません。
この「受入れ困難に係る届出」については、後の回で詳しく取り上げます。
③ 「新たな雇用契約を締結した」とは?
第3-1-2号は、契約が終了した場合だけの使用書式ではありません。
新たな特定技能雇用契約を締結した場合にも使用します。
ただし、ここでいう「新たな締結」は、通常の転職とは区別して考える必要があります。
出入国在留管理庁は、
雇用契約の終了後、在留期限内に、同一の特定技能所属機関と再度雇用契約を締結した場合
を「新たな雇用契約の締結」と説明しています。
つまり、
A社との契約を終了後、再びA社と特定技能雇用契約を締結という場合です。
一方、
A社を退職後、B社へ転職の場合は、「同一所属機関との再契約」ではなく、
転職に伴う「雇用契約」となるため、在留資格変更許可申請の手続きで対応となります。 (※参考様式第3-1-2号による届出対象外。)
「契約締結日」と「許可日」の注意点
ここは、特定技能制度を理解するうえで混同しやすい部分です。
例えば、留学生を採用する場合、
企業と本人が雇用契約を締結
「留学」から「特定技能」への在留資格変更許可申請
許可後、「特定技能」として就労開始
という流れになることがあります。
この場合、
雇用契約を締結した日
在留資格変更許可を受けた日
の2つは、別の日になることがあります。
したがって、契約締結日=在留資格許可日とは限りません。
特定技能雇用契約に関する各種届出では、それぞれの届出事由が発生した日を基準に
考える場面があります。
在留資格申請の許可日は何に関係する?
特定技能制度では、在留資格の許可日が重要になる項目もあります。
例えば、定期届出における**「受入れ開始日」**です。
出入国在留管理庁は、受入れ開始日について、特定技能雇用契約の開始日にかかわらず、
原則として、
「特定技能」の在留資格で上陸許可又は在留資格変更許可を受けた日としています。
項目 | 基準となる日 |
雇用契約の締結 | 実際に契約を締結した日 |
特定技能雇用契約の変更 | 契約の変更事由が生じた日 |
在留期間の開始日 | 上陸許可日・在留資格変更許可日 |
入管庁へ定期届出する上での受入れ開始日 | 原則として特定技能申請の許可日 |
同じ特定技能制度の中でも、すべての項目が同じ日を基準にしているわけではありません。
ここは、実務上とても重要な点です。
ハローワークへの届出とは別に考える
確認項目 | 入管庁 | 厚生労働省・ハローワーク |
何をきっかけに届出? | 特定技能制度上の届出事由 | 雇入れ・離職などの雇用上の事実 |
基準日 | 事由発生日・許可日など | 雇入れ日・離職日など |
期限 | 原則14日以内など | 手続の種類により異なる |
主な届出書類 | 特定技能の各届出書 | 外国人雇用状況の届出など |
片方を出せば省略できる? | 原則として省略不可 | 原則として省略不可 |
さらに、外国人を雇用する企業には、入管庁への届出とは別に、
厚生労働省の制度として、「外国人雇用状況の届出」が必要になる場合があります。
この届出は、原則として外国人を雇い入れた場合や離職した場合に必要となります。
例えば、雇用保険の被保険者となる外国人については、
雇入れ:翌月10日まで
離職:翌日から10日以内
が届出期限とされています。
また、雇用保険の被保険者とならない外国人については、
雇入れ・離職した月の翌月末日までです。
ここで重要なのは、
入管庁へ届出を行っても、ハローワークへの届出が免除されるわけではない
ということです。
逆に、ハローワークへの届出を行ったからといって、
特定技能所属機関として入管庁へ行う届出が免除されるわけでもありません。
制度が違うため、別々に確認する必要があります。
同じ出来事でも、届出は1つとは限らない
例えば、特定技能外国人が退職した場合を考えてみます。
企業側では、
特定技能雇用契約が期間満了で終了した
特定技能外国人の受入れが困難になった経緯が発生した
外国人労働者が自主退職した
という複数の出来事が発生する可能性があります。
その結果、
入管庁への雇用契約に関する届出が必要
必要に応じて入管庁へ受入れ困難に関する届出も追加で必要
厚生労働省・ハローワークへの外国人雇用状況の届出が必要
など、複数の手続が発生する場合があります。
このため、「退職したらこの書式を1枚出せば終わり」と考えない方が安全です。
まずは、特定技能外国人に発生した出来事を整理し、
次に、入管庁への届出の必要性と届出の種類、適切な参考様式を確認し、
さらに、雇用・労働関係の届出が別途必要かを確認する。
この順番で考えると、届出を整理しやすくなります。
まとめ
今回のポイントです。
特定技能雇用契約を変更した場合は、第3-1-1号を使用
契約を終了した場合は、第3-1-2号を使用
同一の特定技能所属機関と再度契約を締結した場合も、第3-1-2号を使用
届出期限は、原則として事由が生じた日から14日以内
契約の変更があっても、すべてが届出対象とは限らない
契約締結日と在留資格許可日は同じとは限らない
定期届出上の「受入れ開始日」は、原則として「特定技能の許可日」
入管庁への届出とハローワークへの届出は別制度
次回予告
次回は、
特定技能の届出② 支援計画を変更したら、どんな届出が必要?
を予定しています。
参考様式第3-2号「支援計画変更に係る届出書」を見ながら、
どんな変更が届出の対象になるのか
支援責任者・支援担当者の変更
登録支援機関との関係
自社支援に切り替えた場合
などを整理します。




