🟪技術・人文知識・国際業務 採用実務シリーズ 第1回
「技能実習」「特定技能」「技術・人文知識・
国際業務」の違いとは?
~外国人採用は「仕事内容」から考えることが大切です~
まずは3つの制度の違いを見てみましょう
【図表①】外国人雇用制度比較表
比較項目 | 技能実習※ | 特定技能 | 技術・人文知識・ 国際業務 |
制度の目的 | 技能の習得・国際貢献 | 人手不足分野の人材確保 | 専門知識・技術を 活かした就労 |
主な仕事内容 | 主に現場で技能を身につける仕事 | 主に現場で働く仕事(ブルーカラー職) | 主にデスクワーク・専門職(ホワイトカラー職) |
対象となる仕事 | 製造・建設・農業など | 特定産業分野 | 営業・設計・経理・IT・通訳など |
企業に求められる 制度対応 | 多い | 多い | 比較的少ない |
継続的な支援・管理 | 必要 | 必要 | 原則として制度上の支援計画なし |
詳しい解説 | 技能実習シリーズ | 特定技能制度 シリーズ | 本シリーズ |
※本表は制度の概要を分かりやすく整理したものです。
実際に外国人を採用する際は、個々の在留資格や従事予定業務について確認が必要です。
この3つは外国人雇用でよく比較される制度ですが、
制度の目的や企業に求められる役割は大きく異なります。
そのため、まず違いを理解することが、適切な制度選びの第一歩となります。
はじめに
外国人採用を検討すると、多くの企業が最初に思い浮かべるのが
「特定技能」ではないでしょうか。
また、「技能実習」という制度をご存じの企業も多いと思います。
しかし、営業・経理・設計・IT・海外取引など、
専門的な知識や技術を活かす仕事で外国人を採用する場合には、
「技術・人文知識・国際業務」という在留資格が対象となることがあります。
この3つは、いずれも外国人が日本で働く制度ですが、
仕事内容
制度の目的
企業に求められる対応
が大きく異なります。
その違いを知らずに採用を進めてしまうと、
「思っていた制度と違った」
「希望していた仕事では採用できなかった」
ということにもなりかねません。
そこで今回は、企業担当者の方向けに、それぞれの制度の違いを分かりやすく整理します。
この記事で分かること
✔ 技能実習、特定技能、「技術・人文知識・国際業務」の違い
✔ 自社にはどの制度が向いているのか考えるポイント
✔ 外国人採用では「仕事内容」が重要な理由
「外国人を採用したい」ときの手順とは
【図表②】外国人採用を考える順番
会社で任せたい仕事内容を整理する
↓
利用できる制度・在留資格を確認する
↓
募集・採用活動
↓
在留資格に応じた申請手続
↓
入社・配属外国人採用を検討し始めた企業担当者の方は、
「まず、どのような在留資格があるのか調べてみよう」
と考えがちです。
しかし、この方法では、Web検索で膨大な情報が表示されてしまい、
どの制度を確認すればよいのか分からなくなってしまいます。
そこで最初に整理したいのが、
「自社ではどのような仕事を担当してもらいたいのか」
という点です。
その仕事内容を明確にしたうえで【図表①】を見ながら制度を確認すると、
自社に合った制度を効率よく絞り込むことができます。
例えば、
海外営業として活躍してほしい
システム開発を担当してほしい
経理として勤務してほしい
という仕事であれば、
「技術・人文知識・国際業務」が検討対象になる可能性があると判断できます。
一方で、
工場の製造ライン
建設現場
介護現場
農業
など、人手不足分野で現場業務を担当してもらう場合には、
特定技能など別の制度が検討対象になりそうだと判断できます。
つまり、
制度から考えるのではなく、仕事内容から考える。
これが外国人採用の第一歩です。
「技術・人文知識・国際業務」が選ばれる理由
このシリーズで取り上げる「技術・人文知識・国際業務」は、専門知識や技術を活かして、主にデスクワークを中心とした仕事で働く外国人を対象とした在留資格です。
企業側から見ると、特定技能制度と比較して、制度上求められる継続的な支援体制や
届出などの負担が比較的少ないことも特徴の一つです。
そのため、
営業職
設計職
システムエンジニア
経理
海外取引
通訳・翻訳
などの専門人材を採用したい企業では、最初に検討される在留資格の一つとなっています。
もちろん、
「大学を卒業しているから大丈夫」
「日本語が話せるから大丈夫」
というわけではありません。
仕事内容と本人の学歴・職歴などとの関連性を含め、個別に確認する必要があります。
特に、専門的な知識や技術との関連性が認められない
「単純作業を主たる業務」とすることは認められません。
仕事内容を整理することは、企業にとっても外国人本人にとっても、
ミスマッチを防ぐ大切なポイントです。
まずは自社の仕事内容を整理しましょう
外国人採用を考え始めたら、まず次の点を整理してみてください。
【図表③】採用前チェックリスト
☐ 配属する部署は決まっていますか?
☐ 担当する仕事内容を説明できますか?
☐ 専門知識や語学力を活かす仕事ですか?
☐ 将来的なキャリアも含めて仕事内容を整理できていますか?
この整理ができている企業ほど、
その後の採用活動や在留資格の検討もスムーズになります。
まとめ
外国人採用では、
「外国人だから、どの制度を使うか」
ではなく、
「どのような仕事を担当してもらうのか」
から考えることが重要です。
技能実習、特定技能、「技術・人文知識・国際業務」は、
それぞれ制度の目的も対象となる仕事も異なります。
だからこそ、まずは会社として
「どのような人材を、どのような仕事で採用したいのか」
を整理することが、外国人採用の第一歩となります。
次回予告
第2回
この仕事は「技術・人文知識・国際業務」で採用できますか?
次回は、企業担当者が最も悩みやすい「仕事内容」と「在留資格」の関係
について、具体例を交えながら解説します。
参考資料
出入国在留管理庁
法務省
厚生労働省
e-Gov法令検索
国際人材協力機構(JITCO)

