🟪 技術・人文知識・国際業務 採用実務シリーズ 第7回
更新日:8月14日
「人が足りないから任せる仕事」ではなく、
「専門的な業務」であることを確認しましょう
~技術・人文知識・国際業務で採用するときの注意点~
留学生を採用するとき、
「日本語が上手だから、接客をしてもらおう」
「人が足りないから、とりあえず簡単な業務からお願いしよう」
と考えることがあるかもしれません。
しかし、「技術・人文知識・国際業務」では、
実際に担当する業務が、その採用する外国人の学歴・専門的知識を活かせる
内容となっているかが要件になります。
採用を決める前に、企業側で一度、仕事内容を具体的に整理してみましょう。
① 「実際の仕事内容」が要件になる
例えば、「ホテルのフロント」と求人票に書いてあっても、
実際の業務が、
a) フロントでの外国人客受付
b) 外国人宿泊客への各種案内
c) 外国語での宿泊予約対応
なのか、
d) 客室清掃
e) 荷物の運搬
f) レストランでの配膳
なのかによって、話は大きく変わります。
入管庁の事例では、上記 a ) ~ c) を
「技術・人文知識・国際業務」に該当する業務として挙げています。
一方、上記 d) ~ f) については、
その業務が主業務であった場合、専門性のある業務とは認められず、
不許可になった事例として挙げています。
つまり、
「ホテルのフロントだから大丈夫」ではなく、
「フロントで何をするのか?」という業務内容が重要な要件になります。
② 「日本語が話せるからレジをお願い」は要注意
例えば、
「日本語がペラペラだし、人手も足りないので、日本人のお客様相手に
レジ業務をやってもらおう。」という採用を考えたとします。
この場合、
レジや商品の陳列など、専門的な知識・技術を必要としない単純な業務を
主な仕事として任せるのであれば、慎重に確認する必要があります。
なぜ採用できないのか?
「専門性」が認められない:レジ業務や商品の袋詰め、品出しなどは、
大学等で学ぶ専門知識を必要としない「単純労働」とみなされます。
「国際業務」に該当しない:日本人客への対応は、外国の文化や言語を
活かした業務(国際業務)とは認められません。
例外的に認められるケース
以下のような、明確な「専門業務」がメインであり、その一環として
一時的にレジに立つ場合は許可される可能性があります。
免税店や外国人向けの店舗:外国人観光客の通訳や購買サポート
(国際業務)が主軸であり、その付随業務として会計を行う場合。
在留資格で認められた範囲を超えて働かせると、不法就労となり、
外国人本人だけでなく、雇用する企業側も処罰の対象となります。
③ 「外国人のお客様対応」が本当に必要なのか?
もう一つ、企業担当者が見落としやすいポイントがあります。
例えば、
「外国人のお客様が増えているので、外国語を使った接客をしてもらう」
という理由で留学生を採用するとします。
ここで確認したいのが、
本当に、その会社に外国語を使う仕事が十分にあるのか?ということです。
例えば、
ホテルで「外国人宿泊客への通訳を担当する」として採用したものの、
実際には外国人宿泊客の大半が、本人の母国語とは異なる言語を使用しており、
本人の母国語を使う仕事が十分にない。
このようなケースは、入管庁の不許可事例として公表されています。
つまり、
「外国人を接客する機会が増え、採用者が担当することで企業成長に繋がる」
という、企業の成長戦略と採用者の専門性がマッチする視点が重要です。
④ 忙しいときの「ちょっとした手伝い」はどうなる?
例えば、ホテルのフロント業務を担当している外国人社員に、
「忙しいから、荷物を部屋まで運ぶのを手伝って。」と依頼するのはどうでしょうか。
入管庁の資料では、
フロント業務を行っている途中で、急遽、宿泊客の荷物の運搬などを行わざるを
得なくなった場合のように、
一時的に在留資格に該当しない業務を行うことは許容されるとされています。
ただし、
「フロントで採用したけれど、実際には人手不足なので、ほとんど荷物運びをして
もらっている。」となれば話は別です。
実際の業務の中心が何なのかが重要になります。
⑤ 「研修の内容・期間」も確認しましょう
入社後の研修についても注意が必要です。
例えば、ホテルで、
「最初の1年間は、研修としてレストランの配膳と客室清掃を担当。
その後、フロントに配属」という計画だった場合。
入管庁の公表事例では、
ホテルサービス等を専攻した専門学校卒業者が、フロント業務で採用されたが、
最初の2年間を実務研修として配膳や客室清掃に従事する予定だったため、
不許可となった事例があります。
資格対象外の業務を長期間行う研修計画になっていないか確認しましょう。
今回のポイント
初めて留学生を採用する企業では、求人を出す前、または内定を出す前に、
次の4つを整理してみてください。
① 実際に何をする仕事なのか?
:「事務」などの職種名だけでなく、具体的な担当業務とその範囲を決める。
② その仕事の中心は何か?
:専門的な業務が中心なのか、それとも単純な作業が中心なのか。
③ 外国語を使う仕事なら、本当に業務量があるか?
:「外国人対応」を担当業務とするならば、実際に発生する外国人客の月件数や
どの言語を使うのかを確認する。
④ 研修期間中は何をするのか?
:在留資格の対象外となる業務を長期間担当させる計画になっていないか確認する。
参考資料
出入国在留管理庁「『技術・人文知識・国際業務』の在留資格の明確化等について」
出入国在留管理庁「別紙3 許可・不許可事例」
出入国在留管理庁「別紙5 ホテル・旅館等において外国人が就労する場合の在留資格の明確化について」


