🟥 特定技能制度シリーズ 第7回
特定技能1号の雇用で押さえておきたい、
支援計画以外のポイント
第1回から第6回まで、特定技能制度の基本的な仕組みや、1号・2号の違い、
登録支援機関、費用、自社支援などについて見てきました。
今回は、企業が特定技能外国人に働いてもらう中で、日本人雇用にはない
押さえるべき遵守が求められる基準について考えてみます。
今回は、企業担当者が事前に確認しておきたいポイントを整理します。
まず、自社の雇用管理を確認する
特定技能外国人を受け入れる企業には、適切な雇用管理が求められます。
例えば、
労働関係法令を守っているか
社会保険関係の手続きを適切に行っているか
給与や労働条件を適切に設定できるか
といったことです。
これは、外国人を雇うから特別に必要になるものばかりではありません。
まずは、日本人社員を雇用するときと同じように、
会社として基本的な雇用管理ができているかを確認することが大切です。
そのうえで、特定技能制度に特有の基準が加わります。
「外国人だから安く雇う」はできない
特定技能外国人の報酬は、
同じ仕事をする日本人と比較して適切な水準であることが求められます。
そのため、「外国人なら日本人より安い給与で採用できる」
という制度ではありません。
特定技能は、人手不足の分野で必要な人材を確保するための制度です。
外国人を採用する場合でも、労働者として適切な条件で雇用する必要があります。
雇用契約も、特定技能の基準を確認する
採用する外国人が決まったからといって、
普段会社で使用している雇用契約書をそのまま使えばよいとは限りません。
特定技能の雇用契約には、制度上の基準があります。
例えば、
報酬
労働時間
休日・休暇
雇用期間
業務内容
などについて、特定技能の基準に適合しているか確認する必要があります。
つまり、
「特定技能外国人を雇用するための条件を満たした契約」であることが重要です。
1号なら、支援体制も準備する
特定技能1号の場合は、外国人が日本で安定して働き、生活できるようにするための
支援が必要です。第4回と第6回で説明しましたので、ここでは繰り返しません。
「対象分野」の確認だけでは十分ではない
ここは、第2回で説明した「特定技能の対象分野」と関係しますが、
もう一段細かい確認が必要になる部分です。
特定技能では、政府が受入れ対象となる産業分野を定めています。
そして、それぞれの分野について、
特定技能外国人が担当できる仕事
業務の範囲
受入れ企業に求められる条件
分野ごとに必要となる手続きや対応
などが、政府の定める分野別の運用方針や関係法令等によって個別に
定められています。
例えば、「うちは外食業だから、特定技能を利用できる」
と分かっただけでは十分ではありません。
外食業分野は、特定技能制度の対象産業になっているが、
特定技能外国人が、担当業務を担うことは個別に認められるのか?
まで認する必要があります。
※具体的な業務範囲などは、分野ごとの運用方針・運用要領等で確認します。
建設、介護、宿泊、農業、飲食料品製造業などについても、それぞれ政府が
分野ごとの運用方針・運用要領等を定めています。
つまり、
「特定技能の対象分野」+「自社が該当する分野について、政府が定めた分野
ごとの運用方針・運用要領等」の両方を見る必要があります。
2026年は、分野別の基準が現在進行形で整理中
ここは、2026年に特定技能を検討する企業は把握しておきたいところです。
2026年1月23日、政府は特定技能制度と「育成就労制度(2027年4月1日開始)」
の分野別運用方針を一体的に作成し、閣議決定しました。
これに伴い、
従来の「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する分野別運用方針」は、
同日付で廃止されています。
また、新たに定められた特定産業分野・業務区分については、
省令等の準備が整ったものから受入れが可能となり、公布・施行された際には、
入管庁ホームページで案内されることになっています。
さらに【分野別運用要領】(個別基準の主だったもの)についても、
2026年6月25日:工業製品製造業分野の【従来の運用要領】を廃止
2026年7月17日:航空分野の【従来の運用要領】を廃止
といった整理が行われています。
一方で、2026年7月17日には
航空分野の「特定の分野に係る要領別冊」が改正されるなど、分野ごとの資料更新も
続いています。
つまり、特定技能制度は、
すでに決まった情報だけを一度確認すれば終わる制度ではなく、現在も分野ごとの
個別基準整理や資料の更新が進んでいる状況です。
そのため、以前にインターネットで調べた情報だけで判断せず、採用を進める時点で、
最新の政府資料を確認することが重要です。
今後、この分野別運用方針や関係する省令・告示等について
新たな情報が公表された場合には、当サイトでも改めてご案内します。
では、どこを確認すればいい?
まず確認したいのが、
出入国在留管理庁の**「特定技能制度」ページにある「分野別情報」**です。
ここから、自社が該当する分野について、仕事内容や最新のお知らせなどを確認できます。
次に確認したいのが、
**「特定技能制度に係る制度の運用に関する基本方針・分野別運用方針・運用要領」**
のページです。
ここでは、特定技能の基本方針や、各分野の運用方針・運用要領、各省の問い合わせ窓口
などを確認できます。
さらに、分野によっては、所管する行政機関が定める
**「その分野に特有の事情に鑑みて定める基準」**も確認する必要があります。
これは、業界団体が決めた慣習や地域ごとのローカルルールという意味ではありません。
特定技能制度において、それぞれの分野の事情を踏まえ、政府・関係行政機関が
定めている個別の基準です。
例えば、2026年には建設、宿泊、林業、ビルクリーニング、造船・舶用工業など、
複数の分野でこうした基準の改正が行われています。
各分野の個別基準については、入管庁の「特定技能制度」に掲載されている各分野の情報・関係資料から確認できます。
採用前に、企業側で確認したいこと
ここまでを整理すると、特定技能外国人を採用する前に、企業側では次の点を確認しておくとよいでしょう。
① 自社の仕事内容が、特定技能の対象分野に該当しているか
② その分野で、外国人に担当してもらう仕事が
最新の分野別運用方針・運用要領等で許容されているか
③ 特定技能の自社業務分野で必要となる基準を満たす雇用契約を結べるか
④ 会社として適切な雇用管理を行える状態になっているか
⑤ 1号の場合、必要な支援を自社または登録支援機関で実施できるか
この段階では、まだ「どの外国人を採用するか」まで考える必要はありません。
まず企業側の受入れ条件を確認しておくことで、
その後の採用活動や在留資格の手続きを進めやすくなります。
技能実習とは、制度の目的が違う
最後に、特定技能と一緒に検索されることの多い「技能実習」についても、
簡単に触れておきます。
どちらも外国人を日本で受け入れる制度ですが、制度の目的は同じではありません。
技能実習制度は、技能等の移転を通じた国際貢献を目的として、
外国人が日本で技能等を修得する制度です。
そして、法律上の基本理念として、国内の労働力不足を解消する手段として
用いてはならないと定められています。
一方、
特定技能は、人手不足に対応するため、一定の技能を持つ外国人を
労働者として受け入れる制度です。
また、技能実習制度は発展的に解消され、
2027年4月1日から育成就労制度が始まる予定です。
育成就労制度は、人材育成と人材確保を目的とした制度で、特定技能1号への移行も
制度設計の中に位置付けられています。
技能実習・育成就労については、別カテゴリーで改めて詳しく取り上げます。
まとめ
特定技能外国人を受け入れる場合、企業側でも事前に確認しておきたいことがあります。
特に重要なのは、
「自社が対象分野に入っているか」だけで終わらせないことです。
実際に外国人に任せる仕事が個別に認められているのか。
その分野について、政府がどのような基準を定めているのか。
自社は、その基準を守って受け入れられるのか。
ここまで確認して、初めて具体的な採用準備に進むことができます。
また、2026年は特定技能の分野別運用方針や運用要領、各分野の個別基準などが
現在進行形で整理・更新されています。
「以前調べたから大丈夫」ではなく、採用する時点の最新情報である
「特定技能の対象分野」+「自社が該当する分野について、政府が定めた分野ごとの
運用方針・運用要領等」を確認する。
これも、特定技能を利用する企業にとって重要な準備の一つです。
参考資料
出入国在留管理庁「特定技能制度」
出入国在留管理庁「特定技能制度に係る制度の運用に関する基本方針・
分野別運用方針・運用要領」
出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」
出入国在留管理庁「育成就労制度の制度概要・関係法令」
e-Gov法令検索




