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【重要】経営・管理ビザの許可基準の改正|既にビザを持っている人は今後どうなる?【第2回】

執筆者の写真: EISHI HANZAWA
EISHI HANZAWA
8月30日
読了時間: 9分

更新日:8月31日

令和7年10月16日から、在留資格「経営・管理」の許可基準が大きく改正されました。


前回の記事では、主な変更点として、

  • 事業規模

  • 常勤職員の雇用

  • 経営者の学歴・経験

  • 日本語能力

  • 事業計画に関する専門家の確認

などについて解説しました。


今回の改正で、既に「経営・管理」の在留資格を持っている方からすると、

特に気になるのは、「自分もすぐに新しい基準を満たさなければならないのか?」

という点ではないでしょうか。


結論からいうと、既に「経営・管理」で在留している方については、

改正後、すぐに全ての新基準を満たしていなければならないわけではありません。


ただし、将来の更新を考えれば、今回の改正に向けた準備が必要になります。


今回は、既存の「経営・管理」ビザ保有者が、今後の更新で注意したいポイントを

整理します。


令和10年10月17日以降の更新が一つの重要な時期

今回の改正は令和7年10月16日に施行されました。


既に「経営・管理」で在留している方は、施行後すぐに改正後の基準を

満たしていなければならないわけではなく、一定の経過措置が設けられています。


出入国在留管理庁は、施行日から3年を経過する日である令和10年10月16日

までの間に行われる在留期間更新許可申請については、

改正後の基準に適合していない場合でも、経営状況や改正後の基準に適合する

見込みなどを踏まえて許否判断を行うとしています。


一方で、令和10年10月17日以降に行われる在留期間更新申請については、

原則として、改正後の許可基準への適合が求められます。


そのため、既に「経営・管理」で在留している方は、令和10年10月17日以降の更新

を見据えて、改正後の基準を確認していく必要があるといえます。


「新基準を満たさなければ即不許可」ではない

ここで注意したいのは、

令和10年10月17日以降、新基準を満たしていなければ、必ず不許可になる

という意味ではないことです。


出入国在留管理庁のQ&Aでは、施行日から3年を経過した後の更新申請について、

改正後の基準に適合しない場合であっても、


  • 経営状況が良好であること

  • 法人税等の納付義務を適切に履行していること

  • 次回の更新申請までに新基準を満たす見込みがあること

などの事情がある場合、その他の在留状況も総合的に考慮して許否判断を行う

としています。


また、出入国在留管理庁は、「事業の用に供される財産の総額」が3,000万円に

満たないことだけをもって、一律に不許可となるものではない

Q&Aで明確にしています。


資本金3,000万円なければ、即帰国?

今回の改正で特に大きく注目されているのが、

事業に供される財産の総額3,000万円以上という基準です。


そのため、

「令和10年10月16日までに3,000万円を用意できないと日本にいられなくなるのでは?」

と不安に感じる、既に「経営・管理」で在留している方もいるかもしれません。


しかし、既存の「経営・管理」ビザ保有者については、単純に3,000万円に満たない

という点だけで、一律に更新不許可になるわけではありません。


前述したように、経営状況、納税状況、今後において新基準を満たす見込みなど、

個別の事情を踏まえて判断されます。


更新時に重要になる「事業の継続性」

ここからは、今回の改正とは別に、以前から「経営・管理」の更新審査で重要とされている事業の継続性についても確認しておきましょう。


「経営・管理」の在留期間更新では、単純に会社が存在しているか、売上があるか

だけではなく、今後も事業が継続して行われる見込みがあるかという点が重要になります。


出入国在留管理庁の「『経営・管理』の在留資格の明確化等について」では、

赤字決算や債務超過がある場合について、

直近2期の決算状況などを踏まえた具体的な考え方が示されています。


決算状況によって、考え方が異なります

決算状況

事業の継続性について

直近期末で欠損金がない

原則として事業の継続性を認める考え方

② 直近期末で欠損金があるが、債務超過

 ではない

今後1年間の事業計画・予想収益等を確認。内容によっては専門家による評価書を求められる場合あり

③ 直近期末は債務超過だが、直近前期末

 は債務超過ではない

1年以内に債務超過を解消する具体的な改善見込みが必要。専門家による評価書が求められる場合あり

④ 直近期末・直近前期末ともに債務超過

原則として事業の継続性を認めることが難しい。ただし、一定の新興企業等については例外的な取扱いがあり得る

単年度の赤字だけを見て、

「赤字だから更新できない」と判断することは適切ではありません。


出入国在留管理庁のガイドラインでは、事業の継続性について、単年度の決算だけ

ではなく、貸借状況等を含めて総合的に判断する考え方が示されています。


例えば、直近期末に欠損金があっても債務超過ではない場合には、

今後1年間の事業計画や予想収益を示す資料などによって、将来にわたって事業の継続が

見込まれるかどうかを判断されます。


さらに、提出資料の内容によっては、

中小企業診断士や公認会計士・税理士等の第三者による評価書

の提出を求められる場合があります。


直近の決算で「債務超過」になっている場合

特に注意したいのが、直近期末で債務超過となっているケースです。


ただし、直近期末では債務超過だが、その前の期末では債務超過ではなかった

という場合には、一定の条件のもとで事業継続性を認める考え方があります。


この場合には、1年以内に債務超過の状態を解消する具体的な改善見込み

が重要になります。


また、その改善の見通しについて、

中小企業診断士や公認会計士・税理士等による評価書

が必要となる場合があります。


つまり、単に、「来年は黒字になる予定です」と説明するだけではなく、

具体的な改善計画や、それを裏付ける資料が重要になるということです。


2期連続で債務超過の場合は、さらに注意

直近期末だけでなく、その前の期末も債務超過となっている場合、

つまり、2期連続で債務超過となっている場合には、

原則として事業の継続性を認めることが難しいとされています。


ただし、一定の新興企業については、

  • 独自性のある技術やサービス

  • 新しいビジネスモデル

などによって今後の成長が期待される場合、例外的な取扱いが示されています。

経営状況だけでなく「活動実態」も重要

「経営・管理」は、単に会社を所有しているだけではなく、申請人本人が実際に

経営・管理に基づく活動を行っていることが前提となる在留資格です。


出入国在留管理庁のガイドラインでは、

事業の運営に関する重要事項の決定、事業の執行、監査など、

実質的に申請人本人が参画していることが必要とされています。


例えば、

業務の大部分を外部に委託し、申請人本人による経営活動の実態が見られない場合、

「経営・管理」の活動を行っているとは認められない可能性があります。


実際に経営者として、

  • 事業上の重要な判断を行っているか

  • 財務状況を把握しているか

  • 事業の運営に関与しているか

  • 今後の事業展開について具体的に判断しているか

といった点も重要になります。


在留中の長期間の出国にも注意

もう一つ注意したいのが、日本からの出国期間です。


「経営・管理」の在留資格で日本に在留しているが、正当な理由なく、長期にわたり

日本を離れている場合、実際に日本で経営・管理活動を行っているのかという観点から、

更新審査で消極的な要素として評価される場合があります。


特に、日本に会社を置いているものの、経営者本人は長期間海外に滞在している

という状態では、「日本で経営・管理活動を継続しているのか」という点が問題となる

可能性があります。


出国の事情や期間については個別に判断されるため、

単純に「何日以上なら必ず不許可」と考えるのではなく、日本で実際に経営・管理活動を

行っている実態があるかという点から考えることが重要です。

経営の順調さだけで更新できるわけではない

在留期間の更新では、会社の売上や利益だけが確認されるわけではありません。


出入国在留管理庁は、

経営者として守るべき法令上の義務についても確認するとしています。


例えば、

  • 労働関係法令を守っているか

  • 社会保険に適切に加入しているか

  • 社会保険料等を適切に納付しているか

  • 雇用保険や労災保険の手続を行っているか

  • 税金を適切に納付しているか

  • 事業に必要な許認可を取得しているか

といった点です。


経営状況が良好であっても、こうした法令上の義務に問題がある場合には、

更新審査で不利な事情として判断されることがあります。

個人事業主は「3,000万円の資本金」が必要なのか

法人の場合、今回の基準における「事業の用に供される財産の総額」は、資本金額

(合同会社等の場合は出資の総額)を指します。

一方、

個人事業主には会社のような「資本金」はありません。


出入国在留管理庁によれば、個人事業主の場合は、

「事業を営むために必要なものとして実際に投下されている総額」を指します。


例えば、

  • 事業所の確保

  • 雇用する職員の給与(1年間分)

  • 設備投資経費

などが挙げられています。 (※これらの費用は、法人の場合、資本金のような「事業の用に供される財産の総額」

  に含まれません。)


法人と個人事業主では、同じ「3,000万円」という事業に求められる金額であっても、

その内容は異なります。

まとめ

今回の「経営・管理」ビザの基準改正について、

既に「経営・管理」で在留している方が特に注意したいのは、次の点です。


① すぐに新基準を全て満たす必要があるわけではない

令和10年10月16日までの間に行われる更新申請については、新基準を満たしていないことだけを理由に更新が認められないわけではありません。


② 令和10年10月17日以降は、原則として新基準への適合が必要

今後も日本で事業を継続するには、改正後の基準を意識して準備を進める必要があります。


③ 新基準を満たしていない場合でも、直ちに一律不許可とは限らない

経営状況、法人税等の納付状況、次回更新までに新基準を満たす見込みなどを踏まえ、

その他の在留状況も含めて総合的に判断されます。


④ 新基準だけでなく、事業の継続性も重要

赤字や債務超過がある場合でも、決算状況や改善の見込みなどを踏まえて判断されます。

特に、債務超過の状況によっては、事業計画や改善計画に加えて、

中小企業診断士や公認会計士・税理士等による評価書が必要となる場合があります。


⑤ 経営の「実態」も重要

会社を所有しているだけではなく、経営者本人が実際に経営・管理活動を行っていること

が重要です。


また、

  • 税金・社会保険・労働関係法令などを適切に守っているか

  • 日本から長期間出国していないか

といった点も、更新を考える上で確認しておきたいポイントです。


※この記事は、出入国在留管理庁が公表している資料およびQ&Aをもとに、

 既に在留資格「経営・管理」で在留している方への影響を分かりやすく整理したもの

 です。

 個別の事案については、経営状況、決算状況、在留状況等により判断が異なります。


参考資料

出入国在留管理庁「在留資格『経営・管理』に係る上陸基準省令等の改正について」

出入国在留管理庁「『経営・管理』の在留資格の明確化等について」

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